虫歯予防を中心とした 歯磨き剤の効果的な使用方法


著:一之瀬 善憲 (グリーンプラザ歯科医院):院長  10/11 '2005アップ

HP制作:一之瀬善憲

日本で売られている歯磨き剤のほとんどがフッ素の入っている製品になりましたが、本当に効果的な使い方をご存知でしょうか?!

皆さんは毎日磨きをしていますが、歯磨き剤のフッ素含有製品率が40%台であった1995年頃の虫歯予防効果はどんなものだったかご存知でしょうか?

下のグラフをご覧下さい。


(グラフ→フッ素について考えるのホームページより)
(データは、WHO の歯科保健の顧問でもありLund大学教授のDouglas Bratthall氏の著作'1994:カリエスリスク判定のてびき:より)
(注意:2001年 日本でのフッ素入り歯磨剤の普及率は80%を越えました。)

フッ素の普及率が高いほど虫歯の発生率が低く、砂糖の消費量とは無関係になっているのが読み取れます。
つまり歯磨きをしていても、フッ素の利用効果を上げないと虫歯予防になりません。
言い換えると、フッ素の入っている歯磨剤を使わないと虫歯予防の効果があがりません。
使うからには効果的に使いましょう。

では、歯ブラシの毛先に歯磨き剤をタップリ付ければ良いのでしょうか?

予防先進国・スウェーデンのイエテボリ大学で推奨されている方法を紹介いたします。

イエテボリ・テクニック
  1. 歯ブラシに2cmの歯磨剤をつける
  2. 歯磨剤を歯面全体に広げる
  3. 2分間ブラッシングをする(特にブラッシング方法にはこだわらない)
  4. 歯磨剤による泡立ちを保つ
  5. 歯磨剤を吐き出さずに10mlの水を含む
  6. 30秒間そのまま洗口する
  7. 吐き出した後、うがいをしない その後2時間は飲食をしない
以上、フッ化物応用の手引きフルオライド A to Z (眞木吉信先生監修)より

1日の使用回数が多いほど、使用後のうがいが少ないほど虫歯予防に効果があります。


私の医院で推奨している方法

3歳未満
  1. 3歳未満はレノビーゴ、キャナリーナなど子供用の100ppmフッ素含有のものを毎回使うか、1000ppm(大人用)のものを1日1回使用する(就寝前がよい)
  2. ハイリスクのお子さんは、1日2回使ってもらう
  3. ブラッシング後の歯磨剤と唾液の吐き出しは、1回だけにする
  4. 10〜15ml(可能な限り少ない量)の水を口に含み、約5秒間(ぶくぶく)うがいする(1回のみ)
  5. いずれの場合も2時間程度は飲食を控えてもらう。
  6. 歯磨剤の誤飲や、歯磨き直後の飲食を控えるように保護者のもとで厳重に管理していただく。

3歳〜6歳未満
  1. 5mm以下(豆粒大:0.25g)のフッ化物配合歯磨剤(1000ppm大人用)を歯ブラシにつける
  2. 歯磨剤を歯面全体に広げ、2分以上ブラッシングする。ただし、幼児が自分で磨く場合は適量の歯磨剤を保護者がつけ、ブラッシングのあいだ監督する。
  3. なかなか歯磨きを始めない子供には、とにかくすぐ大人が歯磨剤をつけて歯磨きをしてあげる。その後、子供に練習も含めて歯磨きさせるのも、将来を考えれば一つの方法である。
  4. ブラッシング後の歯磨剤と唾液の吐き出しは1回だけにし、10〜15ml(可能な限り少ない量)の水を口に含み、約5秒間(ぶくぶく)うがいをする(1回のみ)
  5. 終了後は2時間程度、飲食を控えてもらう。

6歳以上
  1. プラーク除去を目的として、初めは少量のフッ化物配合歯磨剤を付けて歯面をよく磨く。
  2. フッ化物の効果を期待して初めから多めの歯磨剤を付けて磨いてしまうと、プラーク除去率が落ちる。
  3. ※理由としては
    • 口腔内に沢山の泡が広がり、歯面が良く見えなくなってしまう
    • 口をすぐにすすぎたくなってしまう為にブラッシング時間が短くなってしまう
    • 清涼感のあるミント系の味のため、いかにも磨けた気になってしまう
充分なブラッシングを行った後に、フッ化物の効果を期待して歯ブラシに1cm程度のフッ化物配合歯磨剤をつける。
歯磨剤を歯面全体に広げ、2分以上はブラッシングする。
ブラッシング後の歯磨剤と唾液の吐き出しは1回だけにし、10〜15ml(可能な限り少ない量)の水を口に含み、約5秒間(ぶくぶく)うがいをする。(1回のみ)
終了後は2時間程度、飲食を控えてもらう。

注)
歯磨剤が口腔内に入ったために、長時間歯磨きが出来なくなってしまう場合があります。
特に歯周病を治す目的でブラッシングを行う場合は、担当の歯科衛生士や先生とよく相談してください。


上記の説明は、口腔乾燥症やアレルギーなどもなく正常な歯肉の人が、むし歯予防を目的とした効果的な歯磨剤の使い方を解説したものです。


 歯磨剤の種類 

 歯磨剤の成分 
多くの歯科医が推奨する「ジェルコートF Weltec社」を例に説明いたします。
  • 薬用成分 : フッ化ナトリウム→フッ素成分、虫歯予防。塩酸クロルヘキシジン→殺菌剤、虫歯予防及び歯周病予防。β-グリチルレチン酸→歯周病予防。
  • 甘味料 : キシリトール→フッ素などの苦い味を調整、虫歯予防。
  • キレート剤 : ポリリン酸ナトリウム→歯垢・歯石・色素など汚れにくくする。
  • 研磨剤(無水ケイ酸など) : 無配合→電動歯ブラシや長時間磨きでトラブルが出ないように。
  • 発泡剤(ラウリル硫酸ナトリウム) : 無配合→洗剤成分だが、組成成分の組み合わせで殺菌剤の効果を弱めることがある。口腔乾燥症(ドライマウス)の方は発泡剤が入ってないもの使う事が望ましい。
  • 湿潤剤 : 濃グリセリン→適度に湿潤、柔らかくする。
  • 粘結剤 : キサンタンガムなど→粘調度を整え、分離させないようにする。
  • 香味剤 : ペパーミント→清涼感を出す。
  • 保存料 : パラベン→成分の劣化を防ぐ。
  • その他
  • メーカーのホームページ http://www.weltecnet.co.jp


 注)
歯磨剤の選択は、ドライマウスやアレルギーを有する方が増えていますので、使用に際しては歯科医院の専門家とよく相談の上使用しましょう。


 参考 
成分によりペーストの長さや重量が違います。
因みに、ジェルコートは5mm:0.1g、バトラーデンタルケアペーストは5mm:0.2gです。
日本では水道水にフッ化物添加が行われていない(横田基地以外)ので、4歳から1000ppmフッ素含有のものを使っても問題はないといわれている。

フッ素について考える フッ素ジェルの使い方 ←リンクも是非ご覧下さい。

 フッ素量の計算方法 
フッ素使用量(mgF)= フッ素濃度(%)x 歯磨剤の使用量(g)x 10

PPM,ピーピーエム・percentが百分率を表わすのに対し、P.P.M.は百万分率を表わす。1ppm = 0.0001%

 追加 POINT 
むし歯予防の観点のみで考えると、フッ素を塗る為にブラッシングは重要となるが、歯周病を考えると歯頚部に至るまで磨き残しのないことが重要である事を忘れないように! 
食後は出来るだけ早くフッ化物配合歯磨剤(フッ素が入っている歯磨き剤)を使用してリンク→「DIETで虫歯もダイエット」の説明ブラッシングを行うこと。
歯頚部に至るまで磨き残しのないようにブラッシングするのには時間が掛かるので、口の中が泡で一杯になるようならば吐き出しながらブラッシングをする。
歯と歯の間はブラシ磨きでは落とせないのでリンク→歯ブラシだけでは磨ききれないフロスや歯間ブラシを使いますが、その際にフッ素が口の中に十分残っている方が望ましいので、もう一度フッ化物配合歯磨剤(フッ素が入っている歯磨き剤)を歯間ブラシなどに塗って使用し、口腔内全体にいき渡せるようにします。
場所によってはタフトブラシや3in1(スーパーフロス)を追加で使用する。

 参考図書  
新しい時代のフッ化物応用と健康 医歯薬出版
フッ化物と口腔保健 一世出版
フッ化物応用実践マニュアル 東京都県健康局
デンタル・ハイジーン別冊/わかる!できる!実践かリオロジー
フッ化物応用の手引きフルオライド A to Z (眞木吉信先生監修)
カリエスリスク判定のてびき 株式会社エイコー
歯科衛生士:2003/8 クインテッセス出版