東京予防歯科研究会 有志
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今回は、特命リサーチのメンバー:大山氏が虫歯の治療で歯科医院を訪れ、先生に「虫歯が増えている。このままでは全部の歯が抜けてしまう」と警告され、会社に戻るがショックで元気がない。 同僚にどうしたのかと問われ「自分はちゃんと歯磨きしているのに虫歯が減らない」。 上司の山名氏曰く「たしか虫歯を劇的にへらした小学校のリサーチがあった」。 「大山氏の虫歯も激減させられるのではないか?!」 その検証から番組は入っていく。 ・ ・・・・・・・・・・・・・・ タイトル 虫歯を劇的に減らす方法を調査せよ! Report No.090 全国の歯科診療所は、2万5千ケ所(1955年)から6万4千ケ所(2002年)に増えた。 虫歯予防への意識が高くなり、日本では毎日1回以上歯を磨く人が96%(厚生労働省調べ)になった。 虫歯予防への意識・歯科医療技術の向上などで、虫歯の数は減少して当然のはずが・・・ 調べてみると、20歳のDMF歯数(→説明)が<スウェーデン:1988年8.5本から1999年3.6本へと減った>のに対して<日本:1975年から現在に至るまで、9.5本とほぼ横ばいの状態で減っていない> 一体なぜ、毎日歯磨きをしても虫歯は減らないのか? 山形県酒田市での事例です。 山形県は昔から虫歯が最も多いと言われていたので。 ・ 学校で教師による、ブラッシング指導 ・ 早期の虫歯治療の薦め ・ 甘い物の食べ過ぎの注意 などで、虫歯を減らす運動を過去におこなってきた。 しかし、子供達の虫歯は減らなかった。 ところが、<山形県酒田市立浜田小学校>では驚くべき成果が出ていた。 12歳児のDMF歯数は; <1986年 4.9本が、> 6年間で→ <1992年 2.2本(全国平均:3.6本)>までに減少した。 この年に「全日本よい歯の学校表彰」の最優秀校で文部大臣賞をもらった。 小学校の学校健診で、これほど虫歯が短期間で減少したのは史上初であった。 現在のDMF歯数(→説明)0.4本(全国平均2.28本)で世界でもトップレベルの少なさである。 更に、6年生の80%は虫歯が全くない。 では、どの様にしてDMF歯数が減らせたのか? 当時の歯科校医の熊谷医師(日吉歯科)の説明; 従来やっていた早期発見、早期治療をやめた。 それは何故か!(リンク→早期発見、早期治療で歯は無くなる) そこで、先ず虫歯になるメカニズムを説明。 もともと口の中に存在しているミュータンス菌などが歯の表面に歯垢を作る。そこに糖類が供給されると、歯垢の中でミュータンス菌などが増殖して酸を出し、歯の外側にあるエナメル質を溶かし始める。この時点で初期虫歯(→説明)と診断される。そしてエナメル質の下まで被害が達すると、酸に弱い象牙質で急速に溶け始め、虫歯が早く進行する。 小学生の歯は成長過程にあり、萠出してまもない歯や乳歯は酸に弱く虫歯になりやすい。 そのため、従来は初期虫歯を早期に発見し、早期に治療するのが虫歯治療の常識となっていた。 そして、従来の学校健診の際には見ただけでは判りにくい初期虫歯を発見するために、探針(Explorer→説明)を使い歯の表面を軽く突っついて、エナメル質の柔らかさの違いで健康な歯か初期虫歯かを判断していた。 熊谷医師は探針を使った早期発見をやめた。その代わりに取り入れたのが視診(ししん:見て判断する検診法)である。 熊谷医師の所に来院した子どもたちに対して、初期虫歯の段階では治療の必要がないとそのまま帰してしまったとのこと。 この事で苦情や批判が殺到することもあった。 しかし、熊谷医師の浜田小学校では生徒の虫歯を6年間で半分以下に激減させる事に成功した。 しかも、次に校医をした<酒田市立南遊佐小学校>でも驚くべき成果が出ていた。 12歳児のDMF歯数は; <1993年 4.7本>が、 6年間で→ <1999年 1.1本>までに減少させた。 一体、なぜ子どもたちの虫歯を激減させることができたのか?
これは、溶けかかったエナメル質や象牙質を探針でひっかくと、更に破壊される可能性がある。その結果、虫歯の原因菌が歯の奥まで侵入しやすくなり虫歯の進行を早めてしまう。 1987年キム・エスクトランド博士(Dr.Kim Ekstrand:デンマーク、コペンハーゲン大学)は初期虫歯の健診の際に探針がエナメル質にどのような影響をあたえるか、実験を行った。 ・ 探針を使用しなかった場合、エナメル質に変化が見られない。 ・ 探針を使用した場合、60%の割合で虫歯が進行していた。 熊谷医師によると、「初期虫歯を探針で突付くと歯の内部まで穴が開く可能性がある。 そして、歯の内部に虫歯の原因菌が侵入し更に虫歯が進行する。」 欧米では探針の弊害を指摘する論文が次々に発表された。 探針からWHOプローブ(先端がとがっていない探針)、視診やレーザー光(ダイアグノデント→カボ社のホームページ)ダイヤグノデント)を使った測定器での診断へと切り換えている国が多い。 熊谷医師は、虫歯対策に実績の有る国を参考にすれば日本人の虫歯は減少できるのではないかと考えた。 初めて歯科校医を引き受けた酒田市立浜田小学校の健診から、探針による触診から視診へ切り替えた。 そこで一つの「疑問」が浮かび上がった。 初期虫歯は目で見ただけでは判断しにくい為、視診では見落とす可能性が高い。 それにも係わらず、一体なぜ視診で虫歯が減少したのか? 熊谷医師によると「確かに視診によって初期の虫歯を見落とす可能性は高くなる。 しかし初期の虫歯を見つけて治療してしまう事の方が、むしろ歯には良くない。」 これはどう言う事か; 従来の学校健診では目で確認できない程度の虫歯でも(初期虫歯)治療を薦めていた。 一度虫歯になったら元には戻らないため、早く削って詰めてしまったほうが良いとされていた。そのため、健診で初初期虫歯が見つかると早期に治療を受けるよう治療勧告書がだされ、これを受け歯科医院では子供の歯を守るためにも勧告書にしたがい初期虫歯を治療していた。 熊谷医師によると「虫歯の治療というものは、細菌が出す酸によって侵食された部分を取り除き、そこに詰め物をする。せっかく詰め物をしても、歯と詰め物の隙間から細菌が入りやすくなる。そのため、数年毎に新しい虫歯が隙間にできて、治療を繰り返すごとに詰め物のサイズが大きくなり、やがて歯が失われてしまう可能性が大きくなってしまう。 詰め物には10ミクロン(1/100ミリ)の隙間ができてしまう。虫歯菌の大きさは1ミクロン程度である。 そのため、隙間から細菌が入り込みやすく、酸に溶けやすい歯の内部から虫歯が急速に進行する。 治療をした歯の寿命は約40年(熊谷医師の統計による)であると言われている。 これは10歳頃に虫歯になり詰め物をしたとすると、治療を繰り返して50歳代で抜歯になってしまう事。 という理由で、熊谷医師は初期虫歯を削って治療することを一切やめた。 しかし、初期虫歯を早期治療しないと虫歯が進行するのではないか? 熊谷医師よると「初期虫歯の段階であれば、その人に合った正しい歯の手入れをするだけで健康な状態に戻す事が可能」なのだ。 「人間の歯には再石灰化(→リンク)という機能が備わっているので、表面のエナメル質だけが溶けてしまう初期虫歯の段階であれば、削らずに再石灰化させる処置をした方が歯を長持ちさせることができる。」 初期虫歯の治療はしない!
口の中は中性に近いpH7である。 食事をした後、糖分を栄養にしてミュータンス菌が歯垢と酸を作り出す。 数分後にはpH4.5程度と酸性度が強くなる。 この時、カルシウム(CALCUM)やリン酸(PHOSPHATE)などが歯の表面直下(エナメル質)から溶け出す、この状態を「脱灰(→リンク)」という。 食事の後、口の中に食べものが無くなると、唾液の酸を中和する作用によりpH7の中性近くに戻り始める。この時、唾液に含まれるカルシウム(CALCUM)とリン酸(PHOSPHATE)が歯の表面に補給される再石灰化(→リンク)がおこなわれる。 そのまま、口の中を中性に近い状態にしておくと脱灰(→リンク)で失われたカルシウム(CALCUM)とリン酸(PHOSPHATE)を約3時間で唾液から補うことができる。 だが間食を頻繁にとると、口の中が酸性になっている時間が長くなる。すると、カルシウムやリン酸が溶け出すばかりで再石灰化が追いつかなくなってしまう。 こうして、エナメル質から象牙質までにおよぶ虫歯になって行ってしまう。 人間が本来持っている再石灰化をうまく働かせれば、虫歯を進行させないだけではなく初期虫歯を健康な状態に修復させることが可能なのである。 この後は、貴方の歯を守る最新の虫歯予防法の解説。 熊谷医師は学校で @ 人間が本来持っている再石灰化をうまく働かせれば、虫歯を進行させないだけではなく、初期虫歯を健康な状態に修復させることが可能なので、学校で校長先生をはじめ教師に、虫歯の再石灰化のメカニズムを理解してもらうため、講義を行った。 A 親や家族の理解を得るために、学校に保護者を集めておやつの与え方(→リンク)や効果的な歯磨き(→リンク)の方法などを説明した。 B 生徒には、口の中の写真を見せて自分の歯の状態を確認させた。 そして、虫歯の原因(→リンク)にはミュータンス菌の量、唾液の分泌量、おやつの種類、食事の時間などによって個人差がある。そこで、生徒に歯の健康ノ−トを書かせて、自分の虫歯の原因は何んなのかを自覚させた。 Cその上で、食後すぐの歯磨きを徹底し、唾液による再石灰化(→リンク)をうながせば、初期虫歯は治るという意識を持つよう指導した。 D虫歯の予防処置をしてくれる、かかりつけの歯科医を持つことを勧めた。 酒田市内には虫歯予防に積極的に取り組む歯科医が増えており、虫歯原因菌の数と唾液の量と質を調べたりフッ素(→リンク)を利用して1人ずつのきめ細やかな予防処置が行われた。 その結果、浜田小学校では約60%の生徒がかかりつけの歯科医を持つようになった。 こうして酒田市内では親や教師、歯科医師の協力によって虫歯を激減させることに成功した。 山形県酒田市の小学校で行われた「探針の使用を中止」と「再石灰化を促す」方法は実際に効果をあげた事で、全国から注目を集めた。 現在、日本の歯科医師達の虫歯に対する考え方が大きく変ろうとしている。 日本歯科大学:鴨井久一教授 談 「今まで、日本では歯科医師と患者の双方に、虫歯は早期発見・早期治療という考え方が浸透してきたが、これからの虫歯治療は予防に変えていかなければならない。」 1995年4月 学校歯科検診の基準が改正された。 従来は、全て治療の対象としていた初期虫歯は、治療を勧めないと決められた。 更に、2002年5月 日本学校歯科医師会は探針の健診をやめ、視診に切り替えることを決めた。 実施は4月から。 欧米に遅れることおよそ20年。 日本でも探針を使わず健診が行われるようになる。 鴨井久一教授によれば「歯科医師の間では探針使用が歯に悪影響を及ぼすか否かで、まだ意見が分かれ、結論が出るのには時間がかかる。」 しかし、日本の虫歯治療の概念は、初期虫歯は削って治す早期治療から、虫歯そのものを作らない予防へと確実に変化している。 我々が虫歯を予防するにはどのような点に注意すればよいのか? 具体的方法
リポートは終わる。 以下、特命リサーチのメンバー間の話題に戻り、終わる。 (→説明) DMF歯数 未処置虫歯(Decayed tooth)+ 喪失歯(Missing tooth)+ 処置歯(Filled tooth)を合計したもの。指数が低いほど、歯の虫歯による被害が少ないことを意味する。 (→説明) 初期虫歯 カルシウムやリン酸が溶け出しエナメル質の密度が低くなった状態。 |
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本人以外の人が吸っているタバコの煙(副流煙=受動的喫煙)を吸わされている子どもは、虫歯になるリスクが高いことが、米専門家の研究で明らかになった。 受動的喫煙とウ蝕には相関関係がある。 タバコの煙(副流煙=受動的喫煙)を吸わさられると、血中のニコチンの代謝産物である血清コチニンのレベルは高くなり、これによって乳歯が虫歯になる危険性はおよそ2倍になると報告されている。 4〜11歳の3531人を対象に調査を行ったところ、副流煙を遮断すると、27%の乳歯に虫歯の発生が見られなかったことが確認された。 受動的喫煙を減少させることは、多くの病気の予防だけでなく、子供の虫歯予防にとっても重要である。 米国 ニューヨーク州ロチェスター大学児童健康研究センターの研究チームが、米学会誌(Journal of the American Medical Association 2003;289)に発表したもの。 詳しくは、こちらから↓ http://jama.ama-assn.org/issues/current/abs/joc21865.html |